オキムです!
メタルジグを作る上で主な材料となる鉛について説明しておかなくてはなりません。
鉛と言えば投げ釣りで使われる『オモリ』をイメージしますが、メタルジグに使われているのは純鉛にスズやアンチモンを1~15%混合した硬質鉛であることが多いです。
純鉛と硬質鉛
純鉛と硬質鉛の大きな違いは、融点と硬さ、収縮率、重さです。
(融点)
硬質鉛の融点が鉛に比べて低いことは、硬質鉛がルアーの作成に向いている大きな理由の一つです。
一般的に流通している耐熱シリコンの耐熱温度はそれほど高くなく、耐熱温度を大きく上回って製造を行えば型の寿命を縮めることに繋がります。
比較的耐熱温度が高めのワッカーシリコンM4470でも300度以下での使用を推奨しているので、純鉛による加工がいかに厳しいかというのはご理解いただけると思います。
また少しでも低い温度で作業が行えることは安全に作業が行えることにも繋がりますね。
(硬さ)
『オモリ』を使った経験があれば分かると思いますが、純鉛で作られているオモリは柔らかく、落としたり物に当てたりすると簡単に変形します。
対して硬質鉛は非常に硬く、鉛ほどの粘りがありません。
時には手を滑らせて地面に落としただけで、亀裂が入ったり割れてしまったりします。
通常使用でルアーが割れてしまうなんてことは稀だと思いますが。
根掛かりから回収したり激しくしゃくる事で変型してしまうと、動きや沈降速度にも影響するため、こうした理由からも柔らかい純鉛はメタルジグ作成には向かないと思われます。
また塗装面において強固なコーティングは強固な下地があってのことです。
いくら表面をガッチリコーティングしても内部が柔らかいと衝撃でヒビ割れたり剥がれたりしますからね。
そう言った意味でも硬質鉛の方がメタルジグを作るのに向いていると言えるでしょう。
(収縮割合)
型に流し込んだ鉛は時間が経てば冷えて硬化しますが、その際の収縮割合が鉛の方が少し大きいです。
型に流し込んだ金属が冷えて収縮する現象を業界用語では『引け』と呼び、引けによってルアーが思ったような形にならない時はスズやアンチモンの含有量を増やしてやると幾らか解決することがあります。
(スズやアンチモンは単体であまり流通していないので、これらを多く含んだ鉛合金を加えることで対処することになると思います)
(重さ)
同じ寸法のルアーを作成した場合、硬質鉛で作った方が少し軽くなる傾向があります。
一般的にメタルジグ作成に用いられている硬質鉛はスズ・アンチモンが10%程度混合したものが多く、ネット通販でもこの配合の硬質鉛を容易に入手が可能です。
もっと粘りが欲しいと思えば、お好みで純鉛(市販のオモリなど)を少し加えるなどして調整すると良いかと思います。
鉛の入手手段!
硬質鉛を格安で入手するには、『活字鉛(活字金属)』を買うという方法があります。
活字鉛は昔印刷業界で刻印を打つのに使われていた金属ですが、現在は廃鉄として多く流通しているので、これを買って溶かして使えば同じようなもんだという話です。
安価なものだと20キロ4000円程度で取引されているので、私が買っているインゴットの約5分の1程度のお値段ということになります(汗)
多くの場合、入手した活字鉛は一度鍋で煮て不純物を取り除く必要があります。
悪い業者にあたると不純物ばかりというケースも稀にあるそうです。
その辺の見極めが難しいところですね。
手間はかかるが格安で入手し精製するか、精製されたものを少し割高で買うかって話です。
私は最初という事もあって、今回精製された硬質鉛のインゴットを通販で買いました。
お店はコチラです↓
送料込みで24キロが2万円(汗)
平均してメタルジグ1つが100gとすれば240個は作れる計算になります。
2万円÷240個=83.33…(円/個)
まぁこんなもんでしょ。
(それ程大きくない箱で届きましたが、これで24キロもあります。)
スリットの入ったインゴットで届きました。
コンクリートブロックの上に置いて鉄ハンマーで叩くと容易に小分けすることが出来ました。
先に紹介した『リードメルター』の窯にのピッタリサイズです。
これで鉛の準備は完了です♬
鉛を取り扱う危険性について
釣り人にとって身近な存在である『鉛』ですが、取り扱いを誤ると身体に大きな障害を及ぼす可能性のある危険な物質です。
『誤飲』や『溶融時発生する煙を吸い込む』などして人体に取り込まれた鉛は体外に排出されることが無く、肝臓や脳に蓄積されて鉛中毒になる危険があります。
鉛中毒の症状は主に精神障害や肝障害など。
今回のように高温で溶かして使用する場合は火傷にも注意が必要です。
また溶けた鉛に水を溢すと水蒸気爆発を起こし、大きな事故に繋がる可能性があるので注意が必要です。
防毒マスクや耐熱グローブ、安全めがね等の保護具を準備し、安全に作業を行うようにしましょう。
はぁ~、鉛についての説明はこんなもんかなぁ。
不足や誤りについては勉強しながら訂正していきますので、気が付いた方が居られましたら御指摘いただけたらと思います(;^_^A
ホント人任せでスミマセンm(__)m
では~
最近活字鉛から硬質鉛を精製してみました(*^_^*)
その際改めて活字鉛について調べてみたのですが。
活字鉛(廃刻印)の成分の大半は鉛とアンチモンであとほんの少し錫が入っているそうです。
鉛、アンチモン(13%)、錫(3%)程度。
鉛の硬度を出すのは主にアンチモンの仕事で錫は安定剤(?)だそうです。
純鉛にアンチモンを加えたら硬質鉛ができるのかと問われると、まぁそうなんですが、鉛の融点は328℃、アンチモンの融点は630℃もあるため生半可な設備では融合(化合?)させることができないため、既に合金となった活字鉛を精製するのが手っ取り早いという認識のようです。
活字鉛の融点は250~280℃程度。
天ぷらを揚げる際の油の温度が200℃程なことを考えるとぐっとハードルが下がる気がしますよね。